仮面夫婦に満足できない妻たち

昔から仮面夫婦は少なくありませんでした。夫婦の会話はあまりなく、夜の夫婦生活もまったくなく、ただともに同じ家の中で暮らしているだけ。一昔前まではそれで構わなかったのです。ところが、最近の妻たちはそれには我慢できなくなってきています。弁護士に離婚を相談して、「仮面夫婦でいいじゃないですか」とか「とりあえず、家庭内別居でいいじゃないですか」と諭されると、昔はほとんどの妻が納得しましたが、今は納得しません。

妻たちの損得の基準が変わった

親切な弁護士は、「50代にもなって離婚したって得にはなりませんよ」「損するのは女性の方ですよ」と言うものですが、今の女性たちはそれでは納得できません。損か得かの基準が、変わってしまっているのです。弁護士の言う「損する」とは、「経済的に苦しくなる」という意味です。「離婚した女」となることによる社会的信用の喪失や、精神面でのショックも含まれます。

しかし、少なくとも「元妻」になることでの社会的な損失は、今ではほとんどなくなりつつあります。人からさげすまれるようなこともありません。精神面では、むしろ結婚していることのストレス方が強いので、離婚するとプラスになります。経済面では必ずしもプラスにはなりませんが、年金をもらいつつ働けばそこそこの暮らしはできます。女たちは、精神的な自由と経済的なマイナスとを天秤にかけて、精神的な自由の方を選ぼうとしているのです。

セックスに関する考え方も変わった

一昔前までは、夫婦の性生活に不満をもったとしても、それを理由に離婚を考えるのは「間違った」発想でした。セックスの不満で離婚するなど、女性として恥ずかしいことだという考え方があったのです。自分自身を「淫乱な女」「いい歳してセックス狂いの女」と責めなければなりません。しかし、今は、50代60代でセックスをしないのは、男が悪いという考え方が広がりつつあります。

夫がEDになり性生活をできなくなると、それは夫の努力不足だということになります。専門のクリニックでバイアグラの処方をうければすぐに治るものなのだから、受診するだけのことです。簡単な努力もしないで、性生活を放棄してはパートナーに対する誠実さに欠けるというわけです。

会話も少なくセックスもない夫婦でも、「仲良し夫婦」の仮面をかぶって生きるのがかつての「常識」でした。ところが今の妻たちは、仮面をかぶるなんてまっぴらだと考えるようになっています。好きでもない男の世話を焼きつつ、性的には不満を抱えたまま生きる人生に、女たちは意味を見いだせなくなってきました。そんな人生なら、放棄した方がマシだと考えるようになったのです。

妻たちは、夫とどうやって別れようかと真剣に考えるようになっています。仕事ばかりしてきた男たちは、会社の中の論理には強くなりましたが、家庭内の論理にはまったく弱くなりました。妻たちが抱える爆弾に気が付かないと、ある日突然、家庭が崩壊することになります。妻の側には離婚のデメリットがあまりないことに気づいておくべきです。